雪 気温:最低 - 10℃/最高 - 6℃
毎日少なくとも一回、なにか小さなことを断念しなければ、毎日は下手に使われ、翌日も駄目になるおそれがある。(ニーチェ)
そう、これはニーチェの言葉だ。20歳の頃ぼくはむさぼるようにして「ツァラツストラかく語りき」を読んでいた。あの独特の力強いアフォリズムにほとんど洗脳されかかっていたほどだ。その危険性を考慮したとしても「ツァラツストラかく語りき」はあなたが何歳だとしても読む価値のある数少ない著書だと想う。
当時の新聞広告で(文庫本のキャンペーンだったと思うが)「目がつぶれるほど本が読みたい」というキャッチコピーに強烈なインパクトをうけた。じっさいその当時のぼくはそのようにして片っ端からあらゆるジャンルの本を読みあさっていたからだ。大学を卒業した後で数えてみると4年間で3400冊あまりの本を読破していた。そしてその広告作品への憧憬がぼくを広告業界の第一線に飛び込ませたのだった。まあ、それが間違いの始まりだったのかも知れないのだけれど、それはまた別の話。
2.0あったぼくの視力はひどく衰え、眼鏡が必要になり、あまりにも思惟の世界に埋没していたおかげですっかり世事に疎い青年になっていた。これを不幸の始まりと呼ぶべきか、幸福への第一歩だったと考えるべきかいまもわからない。しかしいずれにしても、それはぼくの人生にとって「無駄」ではなかったということだけは断言できる。
ここまで書いてきていまぼくの手元にこの本がないことに気づいた。いま誰のところに行っているのだろう。それが思い出せない。35年の歳月を経て、この年齢になって改めて読み返したい思いがつのる。それにしても、サルトルの「存在と無」はいまだに3分冊の第2巻の真ん中あたりを読み進めているのだから気の遠くなりそうな話しだ。自分が生きている間に読破できるのだろうか。(^_^;)
本の話を書くのはまた改めてということにしておこう。話し出したらきりがないから。
さて、冒頭に記したニーチェの言葉はじつに含蓄に富んでいる。青年時代の日記に貼ってあった新聞の切り抜きがはらりとはがれ落ちてぼくの目に触れたというわけだ。小さななにかを断念することはたとえ毎日で無くったってとても勇気のいることだ。思い切りの良さと前進しようという強い意志が必要なのだ。
それができないがために、ぼく自身もずいぶんと翌日を台無しの一日にしてしまった。断念すること、諦めること、見切りをつけることは決して敗北を意味しないと言うことが、あえていうならば「逃げ出すこと」すら敗北を意味しないと言うことを50代になってようやく実感できるようになった。これは遅すぎるのかも知れないし、個人的には妥当な時期なのかも知れない。
ということで、この3連休はほとんどお客様がいらっしゃらなかったけれど、ぼくは気にしなかった。「爆弾低気圧」なんていわれちゃったら猛吹雪のうえにリフトまで動かない最悪のゲレンデ状況を想定しちゃうじゃない。ぼくがお客様の立場だったとしても同じように想像しただろう。
しかし、じっさいには当地は風らしい風も吹かずただ雪だけは上質のパウダースノーがどかんと積もったのだった。この連休にピラタス蓼科スノーリゾートにいらしたお客様が最高の新雪を堪能できたことと想います。残念ながらぼくらは60センチも積もった雪の除雪作業でゲレンデには出られませんでしたが。
それにしてもようやくこの時期に昨シーズンに新調したホンダのハイブリッド除雪機が登場するというのは異例のことです。12月から大活躍というのが平年のパターンですから。雪が舞う中でエンジンオイルを交換したり、各部を点検調整してスタートしたのですが、今回の雪はとても軽くてさらさらで、面白いように遠くまで飛ばすことができました。これは最高の雪です。
今週末からが本当の意味でのスキー、スノーボーダーのみなさんのハイシーズン突入と言うことになるのではないかと想います。ちょっと遅すぎるシーズンインですけれど。まあ、たまにはこんなこともあります。ピラタス蓼科「お試しスキーパック=リフト券付1泊2食10000円」なんていうのも始めましたので、ちょっといらしてみてはいかがでしょうか。
※このエントリーの滑走可能エリア図版は(株)ピラタス蓼科ロープウエイ の許諾を得て転載しています。
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