午前6時 パルの声で目が覚める 何か問題があるわけではない それでも気になって 起きて窓外を見る 空はまだ暗い 外に出ると思いのほか温かい 氷点下であることは間違いないのだけれど それでもずいぶん温かく感じる 神経症状で パルは訳がわからなくなっている ここのところ 意識のはっきりしているときよりも こういう状態の時の方が多くなった 水を口元に持って行くが いらないという 食べ物を与えようとするが やはりいらないという 犬舎につれて入って 全身を とくに負担のかかっている 背骨を中心にマッサージしてやる 気持ちよさそうに目を細める ああ とどのつまり このぬくもりが欲しかったのだと 鈍感な僕はようやく理解する そのぬくもりはおそらく 僕がパルに感じているこの手の感触 それと同じものを パルも感じ 求めている やがてぐっすりと寝入ってしまったパルを 起こさないようにそっとその場を去る 頭上では 樹木の先端が大きく揺れている 地表ではまったく風を感じないが かなり強い風が ごうごうと森を鳴らしている もうすぐ雪雲がやってくる ふとそんな気配を感じた
--- ●ペンション・サンセット ●蓼科高原日記 ☆たてしなラヂオ☆
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