自然というのは、 ある意味で不自然なものだ と ラヂヲは思うのだ。 自然の中でひとりぼっちで暮らすのは たしかに素晴らしいことだけれど、 そこでずっと生活し続けるのは簡単じゃない。 理論的にはできなくはないし、 じっさいにそうする人もいる。 しかし自然というのは、 ある意味で不自然なものだ。 安らぎというのは、 ある意味では威嚇的(いかくてき)なものだ。 その背反性を上手に受け入れるには それなりの準備と経験が必要なんだ。 だから僕らはとりあえず街に戻る。 社会と人の営みの中にもどっていく。 (村上春樹「海辺のカフカ」) 作中で「大島さん」が語るこの一節に出合ったとき、 これはぼくのことを語っているのではないかと 錯覚しそうになった。 これまで何度もこの部分を読んだはずなのに、 今回初めて「発見」したように感じるのは なぜなのだろう。 今回初めてこの一節が ぼくの心の扉をたたいたのかも知れない。 (つづく) --- ●ペンション・サンセット ●蓼科高原日記 ●たてしなクロニクル ☆たてしなラヂオ☆
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