雨 気温:最低 5℃/最高 14℃
ピラタスの丘ペンション村があるのが標高1600mから1800m。秘境と呼ばれる「坪庭」があるのがロープウエイ山頂駅前の標高2240mから2340mあたり。真夏でも別世界のピラタスの丘、それよりもさらに500mも上の山岳地帯の花は、本来なら登山をする人の目にしか触れないものばかりです。
一枚目の写真はミツバオウレン、山頂駅付近に咲きました。二枚目の写真はタチツボスミレ。坪庭の花の季節が始まりました。これからの季節、梅雨の期間も含めて7月中旬くらいまでが坪庭の花の盛りです。遊歩道が整備されているのでロープウエイであがってそのまま運動靴で楽に歩くことができます。坪庭のすばらしさは花ばかりではありません、眺めも絶景で普通なら本格的登山客しかみることのできないものです。
今日はあいにく朝から雨模様、終日降り続きました。けっこう本格的な降りでまとまった雨になりそうです。さいわい雷雨にはなりませんでした。一年中晴れていたら干ばつになって森も死んでしまいますから、雨降りの日がある程度あっても仕方ないですね、出来れば週末や休日は避けて欲しいというのが人間の勝手な願いですけれど。
午後7時半、ラウンジの室温は15℃。厚手のコットンのトレーナーだけではかなり寒く感じる。厚手のフリースジャケットかダウンパーカをはおってちょうどぬくぬくという感じです。
いつもなら何の物音も聞こえないはずが、今夜はいささか様子が異なって、ざあざあという激しい雨音に満ちています。その音の中にも実に多様な音が混じっている。雨滴が新緑を打つぱらぱらという音、樹木の葉がためた雨が落ちて地表を打つときのぱたぱたという音、鋼板製の屋根を打つかんこんという音、屋根から落ちる雨水が軒を打つことことという音。
野鳥の合唱と是非コラボレーションしてほしいほどの音楽的な雨音です。打楽器だけの演奏でもこれだけ色彩があることに驚きます。どこか和太鼓の演奏の興奮に似たものを感じます。目を閉じるとさまざまな想いが浮かんでは消えていきますが、この音楽はいつもとは異なった切ない思い出をよみがえらせるようです。
これも高原暮らしならではの醍醐味です。
それはさておき、商業的に成功しなくてはこの「高原暮らし」も成り立ちません。それはよくわかっているのですが、僕は頭が古いのだろうか、甘ちゃんなのだろうか、メールマガジンを送りつけたり甘言を弄したりしてそれを心地よく思うお客様を集客するというやりかたに違和感を覚えるのです。だからそういうことはやりません。
保養所契約獲得に奔走するよりも、旅行代理店をご接待するよりも、甘いセールストークをひねるよりも、お客様にとってもっとも心地よい場所であり続けるために全力を尽くしたいのです。利潤至上主義の商業主義は僕がもっとも忌避するところのものです。
まあ、いずれにしてもこの新自由主義とやらの世界では、間違っているのは僕の方なのだろうけれども。でもね、これは商売だと割り切って「商人(あきんど)」になりきるか、これは商売ではなく「趣味」だと決然と言い放つ覚悟でなければいまやペンションなんてやってられない。ペンションとはそのような致命的欠陥を持つ前時代的ビジネスモデルなのです。
財務的には僕は前者のスタンスを選択しなければならないのかもしれない。しかし、それだったらなんで第一線のビジネスマンをやめてここにきたのかわからなくなってしまう。同じことをやるのだったら以前の環境の方が遙かによかったからだ。
ということで、全く利益の上がらない後者の道を選んでほそぼそと生きていけたらいいなあと願うばかりなのです。お客様もペンション・サンセットにいらしたときばかりは新自由主義的グローバリズム、そのような商業主義に組み込まれる以外に生計が成り立たないという現実から解き放たれて自由に羽を伸ばしていただければうれしく思います。
※今日の写真は(株)ピラタス蓼科ロープウエイの許諾を得て転載しています。
※クリックすると拡大してごらんいただけます。
最近のコメント