雨のち晴れ 気温:最低 12℃/最高 16℃
高原の雨。
じつに久しぶりのように感じる。
実際そうなのだろう。
風が立つ。
さわさわと木の葉が揺れる。
立秋に秋風が立って久しい。
避暑地の夏の終わりにふさわしい風情。
そう、蓼科は温泉保養地というよりは
「避暑地」と表現されるべき場所だ。
すくなくともここ「ピラタスの丘」は「避暑地」である。
上空の雲の粒子が吹き下ろしてくる。
ピラタスの丘は一瞬濃霧のようになる。
この情景が僕は好きだ。
自分が高原に身を置いていることを実感する。
この清涼な気候、静寂、美しい風景、濃密な自然の息吹。
★★★
きのうのつづき。
深夜から未明にかけてウォン・ウィンツァンの「純愛」をヘッドフォーンで聴く。
日中も静寂に満ちているけれど、この時間帯は信じられないほどの静寂が森を支配する。夜行性動物の気配の他は森も精霊もぐっすりと眠り込んでいる。だから音楽とじっくりと向き合うには最適なのだ。
22曲目の「別れのテーマ【赤い布】」に涙する。そうだ、この曲を初めて聴いたときに唐突に涙があふれてきたのだった。僕は映画を観ていないので、どの場面にこの曲が流れるのかを知らない。それでもある情景ある情感が明瞭に浮かんでくるのだ。それが心の奥深い部分に触れる。
いつもと違うピアノの響き。同じピアノを使っていることはわかるけれど、チューニングが微妙に異なり、倍音の響きがくっきりと美しい。弦をかたく張っている感じの音だ。この硬質な音色はウォンさんにしてはめずらしく感じられる。
彼の音楽が新しい領域に踏み込んだことを感じずにはいられない。
作曲家としての自信の音楽に対する確信と明確な意図。
ひとことで言えばそういうことだろうか。
ここに至っては、是非この「組曲」でフルオーケストラとのコラボレーションを実現して欲しいと願う。それは夢のような演奏になることと思う。これは確信だ。
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