晴れ 気温:最低 10℃/最高 18℃
紅葉はいつもひっそりと始まる。
僕らの知らない森のどこかで、それはすでに始まっている。
風の便りにそのことを聞いた。
森を吹き抜ける風は何でも知っているのだ。
いつもならからからと風鈴のように鳴る木の葉が、
今年はまだ十分な水分を保っている。
しなやかな紅葉は美しい紅葉だ。
そのことを僕らは経験的に知っている。
ある朝窓外に展開する錦絵(にしきえ)に驚かされるのは
どれほどあとのことだろう。
★★★
きのう米国流の思考回路の象徴としてミッキーマウスを取り上げたけど、じっさい、ウォルト・ディズニーが極右思想の持ち主だったことは有名な話しだ。それをもっとも良くあらわしているキャラクターがドナルド・ダックだということも。
ディズニー第1世代の僕らはそのことを大人になってから知って、愕然とした。確かに思い当たるのだ、あれは戦意高揚とまでは行かないまでも、ある種のイデオロギーを背景に含んだアニメーションだったのだ。それはきわめて米国的な行動規範を刷り込む仕掛けになっていた。
まあ、それをいったら当時極度のコンテンツ不足に悩まされていたテレビ局がこぞって放映していた米国制作の子供向けドラマもまた同様の質を持っていたと言えるだろう。救いは、そんなものの中にどっぷりつかっていた僕らがなぜか幸運にも「洗脳」されていなかったという事実だろう。
1960年と1970年の安保反対運動には米国も驚いたことと思う。
★★★
まあ、小理屈はこのへんにして、蓼科の話をしようと思う。
今日の蓼科は「まるで真夏のような天気」になった。気温はそんなに上がらなかったけど、陽射しが強烈で久しぶりに「夏」を思い出させてくれた。チェックインするお客様も、きょうは「暑い」ですねとおっしゃることが多かった。
しかし、実際の気温はピラタスの丘で最高18℃、諏訪でも25℃程度だったのだ。人間の感覚というのはじつにあてにならない。ただ、体感的にはお客様のおっしゃるとおり夏のように暑く感じたのだ。嫌な感じの暑さではなく、からっとしたある種爽快な暑さではあるのだけれど。
でも、標高1800mに迫るピラタスの丘は、窓を開けておくと寒くなるほど涼しかったのは言うまでもない。高原そして山はもう「寒い」のだ。そのことは夕方以降にお客様もご自身で体感なさったようで、信じられないほど涼しい(っていうか「寒い」)とおっしゃっておられた。
星空がとても綺麗なのだけれど、あいにく月齢が9.7あたりで「上弦の月」が中天にかかってとても明るい。そのために暗い星が見えにくくなってしまっている。これは自然の摂理なので致し方ない。気持ちを切り替えて美しい月を眺めることにすると、それはそれでじつに感動的なのだから。
これから満月までは、夕食のあと懐中電灯無しで「月明かり」だけでピラタスの丘を散歩できる。それほどここの月は明るい。じっさいに「影踏み」あそびだってできるほどなのだ。
そんな夜に愛犬のパル君と散歩するのは楽しいひとときだ。シベリアンハスキーのパル君にとってはピラタスの丘の涼しい夏も「灼熱地獄」と感じられたに違いない。なにしろ彼は氷点下20℃になるとようやく目がらんらんと輝き出すのだから。
そんな彼も月夜の散歩は比較的涼しくて心地よさそうだ。もちろん「疲れを知らない」真冬のようには行かず、ぜいぜいいって帰ってきてがっぽがっぽと冷たい水を補給する必要があるけれど。
★★★
ピラタスの丘でも、ビーナスラインでも森のそこかしこに紅葉の兆しが見られるようになった。ペンション・サンセットの庭でも写真のようにきれいな紅葉を観ることができる。もちろん局所的なものだけれど。これがいつのまにか全体に広がっていくのだ。ふと気づくと僕らは自分が紅葉のまっただ中にいることに気づくのだ。
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