晴れ 気温:最低 - 2℃/最高 8℃
美しい森を歩いていた。真っ赤に紅葉した楓(かえで)がほどよい感覚で頭上を覆い、他の樹木は新緑に輝き下草も青々として吹き抜ける風にそよいでいる。径(みち)に沿うように渓流が流れ、さらさらと軽やかな水音が心地よい。
陽射しはまっすぐで強い初夏の光線だ。しかし、僕の感じる季節は秋。腐葉土に覆われた森の小径はふわふわとして雲の上を歩いているような感覚がする。落ちた小枝が時折ぱきぱきと足下で音を立てる。
突然見知らぬ鳥が鋭い鳴き声とともに飛び立っていく。完璧な世界が一瞬切り裂かれる。しかしゆっくりと広がる波紋がおさまると、この球形の空間は元どおりの完璧な姿を取り戻す。僕はこれが自分の夢であることを感じる。
この森が僕の心の形であることをしだいに思い出す。僕はいま自分の夢の中にいてゆっくりと覚醒へと向かっているのだ。いったい覚醒は褒め称えられるべきことなのだろうか、夢は笑い飛ばされ忘れられるべきものなのだろうか。
★★★
蓼科山が冠雪しました。昨日の夜は氷雨だったので、これはきっと山の上では雪だよと言っていたのですが、やはり標高2200m以上は雪になったようです。
紅葉は数百メートルの帯状に山を下るのが通例ですが、いまちょうどその帯がピラタスの丘を通り過ぎようとしているようです。
ミズナラや白樺などは昨日の「秋の嵐」でおおかた葉を落としましたが、カエデやヤマウルシなどはまだしっかりと赤い葉をさらに鮮やかにしつつあります。
いままさに極彩色に彩られる蓼科高原です。
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