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僕はサンセットが好きだ。
「夕暮れ時」が好きで「夕焼け」も「夕陽そのもの」も好きだ。
だからペンション・サンセットなわけだ。
会社員をやりながら準備が整うまでの10年間、いろいろな名前を考えていたのだけれど、結果としてはあっさりと決まってしまったような気がする。だって、たとえようもなくここのサンセットは綺麗で感動的なのだから。
同時にサンセットの建物も大好きだ。外から見たかたちも色も、インテリアも、なにもかも。ペンションオーナーは誰でもそんなふうに思っているのだと思う。そうでなければ自信を持ってお客様をお迎えできないかも知れない。もちろんそうではない人だって中にはいるだろうけれど、ひとそれぞれだ。
ペンションを開業するはるか以前に、自分がペンションを始めるとしたらどんなペンションにするかと言うことが旧い日記に書いてあった。
朝目覚めると、鳥の声が聞こえなければならない。クルマの音ではなく、樹木の梢を渡る風の音が聞こえなければならない。窓外には深い森があり、美しい山々がなければならない。
忙しすぎてはいけない。忙しいのはよいが、忙しすぎてはいけない。こころがゆとりを持って、穏やかでなければいけない。素直なこころでひととふれあうことができなければいけない。
きれいな空気と、きれいな水がなくてはならない。圧倒的な静けさがなくてはならない。こころを癒す力がそこになくてはいけない。美しい自然がなくてはならない。こころ穏やかなひとびとの暮らす土地でなくてはならない。
こざっぱりとした気持ちのよい宿でなければならない。小さくて、お金もかかっていないが、こころ温まる雰囲気をたたえた宿でなければならない。のびのびと、好きなようにくつろげるような心遣い以外は、客をほおっておいてくれる宿でなければならない。
宿の主人は、決して客におもねずへつらわず、礼儀正しく、きさくでいたずらっぽくもあり、気配りはあるが、客に気を遣わせず、押しつけがましいところは微塵もなく、客の自主性を最大限に尊重する。「ひとりにしておいて!(Leave me alone!)」という気持ちにもきちんとこたえる宿でなければならない。
圧倒的な静けさと、癒しの力こをが、その宿の宝だ。
いま初めて気づく。その「旧い夢」は一句たがわず実現しているのだと。
想像をはるかに超える資金が必要だったことだけが例外だったけれど。
いずれにしても、そんなことを書いたことすらすっかり忘れていた僕にとって、これは驚愕の事実だった。
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