曇りのち雨 気温:最低 8℃/最高 17℃
予報どおり、午後3時ぎから雨になった。エーゲ海沿岸の都市ならばシエスタ(午睡)の時間かも知れない。ここはエーゲ海とははるか隔たっているけれど、僕はひとときのシエスタを経ていま目覚めたところだ。
外では雷鳴がとどろき、夕立が激しく地表を打っている。新緑が茂ったので、芽吹き前とは異なって、雨滴が新緑を打つ打楽器のような音が協奏する。それは素敵な音楽でもある。稲光、雷鳴、落雷音、激しい雨音、木の葉を打つ雨滴、軒から落ちる雨だれの音・・・。
きのうの夕暮れ直後、用事があってビーナスラインを蓼科湖まで下った。蓼科湖は標高1200mほどだから、ここよりも550mほど低いところにある。茅野市、諏訪市などの市街地は750mほどだから、ここより標高で1000mも下にあることになる。
ぼくらは街から自分の住まいのある場所を北八ヶ岳の山並みの中に見いだすことができる。なんだか不思議な感覚だけれど、いまではそんなことにもすっかり慣れてしまった。
街の人たちの服装と僕らの服装とは1ヶ月以上の差がある。何でそんな厚着をしているの、暑くないの?・・・というほどの差がある。そんなことにも、いまでは僕らも街の人たちもすっかり慣れてしまった。
それはそうと、そんな薄暗がりの中を下っていくと、右側に牝鹿がたたずんでいた。牡鹿に比べるとかなり小柄だ。しかしその姿は、優美で毛並みも良くとても美しい。彫像のようにぴくりとも動かずに森と道路の境目で、じっとしている。
念のためにスピードを落として通過する僕のクルマを、横目でちらりと確認すると、今度は左右をきちんと確認して僕の通過したあとの道路をささっと渡っていった。その所作がものすごく上品で、なんだか妙齢の女性が元町の商店街の道を渡るのを観たような気がしたほどだ。
とても「野生動物」という印象がしない、とても擬人的な存在だった。鹿はやはり古来より言われるように神の使いなのかも知れない。いまそんなことを言われたらすっかり信じてしまうことだろう。
そんなことを思っていたら、今日の夕方のニュースで、その同じニホンジカの異様な個体数増加のために食糧不足が生じて、彼らによる尾瀬沼の食害が甚大な被害を与えている様子が報道された。こもままでは時を待たずに尾瀬全体が消滅してしまうとのこと。
南アルプスでも大きな自然林とその水源地が文字どおり「崩壊・消滅」したという事実がある。鹿ももちろん生きるためにそうしているだけなのだけれど、その結果甚大な自然破壊が生じ、それは人間を困らせる以上に彼ら自身の生存と、周囲に共存する野生動植物の生存を危うくしている。
これは「事実」だ。心が痛む。
僕らが心を痛めたところで、なにかが変わるわけではないのだけれど。
自然は時に優しく我々を抱擁し、慰撫するが、時には残酷な結末を受け入れることを求めるものなのだ。そのことを、いまでは僕も知っている。このことは抗いようもなく受け入れるほかないのだと。
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