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こういう寒い夜には暖房を入れて、湯がありのパジャマの上にダウンパーカをどてら代わりに羽織って好きな本をじっくり読むのがしあわせかも。村上春樹が1985年に書いた自伝的長編(といわれている)「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」を読み返している。
先日読もうと思って書庫から探し出してきたのだけれど、そのときは最初のページでひっかってしまって読み進めず、断念。でも、昨日手に取ったらすっとその独特の世界に入り込むことができたのだった。この作品は読む時と場所を選ぶのかも知れない。
「ハードボイルド・ワンダーランド」と「世界の終わり」とがテレコに語られるのがこの作品の特徴だけれど、まったく異なった物語のようで、じつは各章とも同じ物語を別の世界から語ったものであることがやがてわかってくるだろう。
どちらが現実でどちらがメタファーなのかということにはあまりこだわる必要はない、好きなほうを自分の現実にすればいい。個人的には「世界の終わり」のほうが好きだけれど。
ということで僕は五回読み返してようやくこの作品の構造とでもいうべきものを理解した、といえるかもしれない。一度目は通読、二度目は「ハードボイルド・ワンダーランド」にフォーカスして読み進め、三度目は「世界の終わり」をじっくり読み込んだ。四度目はその両方の世界の「繋がり」を意識して通読。そして五度目にこの作品全体を統合して読んでみた。
その様な作業をしておくと「海辺のカフカ」へと続く世界が違和感なく理解できるようになるだろう。もちろん「作業」とは言っても決して仕事ではなく、とても楽しいひとときに違いないから、これはおすすめする。
それにしても「ノルウェイの森」がこれよりあとの1987年刊であることを知っていささかびっくりした。
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